ことばの重み
私は占いとかいったような基本的に根拠のないものは全く信じてはいないのですが、人の言葉、それが特に自分が尊敬をする人の、自らの経験に基づいた言葉であるならば、その内容を信じます。
私は自分自身のことを極めてポジティブであると思っていますが、それは確実に、私の恩師が言ってくださった下のような言葉があったからこそ、今現在もポジティブでいられるのです。
Satoshi, tu vas réussir ta vie!
(サトシ、あなたの人生、きっとうまくいくよ!)
この言葉は私が学生時代に、1年ほどフランスに留学していた時の恩師であるエミリアが、日本への帰国前に言ってくれた言葉です。恐らくこの言葉を見ただけでは誰でも、普通の励ましの言葉のように見えるかと思いますが、私にとって決して忘れられない言葉となっております。
エミリアは、現代の日本人には恐らく想像できないほど苦労をした人で、ブラジル人でフランス語が全く分からないにもにも関わらず、家庭の環境の理由で夫を残してブラジルから小さな子供を連れてフランスに逃れてきました。そして、フランスでの貧しい環境で苦労をしながらフランス語を学び、ネイティブではないというハンディを乗り越えてフランス語の先生の資格を取り、大学でフランス語を教えていました。
授業中のエミリアは、生徒の前ではまさにラテンの人という感じで、いつもとっても陽気でいましたが、エミリアが発する言葉の一言一言には、とても重みを感じておりました(とはいっても、私は出来の悪い生徒でしたため、いつもエミリアに迷惑をかけておりましたが・・・)。
そんなエミリアの「うまくいくよ!」という言葉、それがほんの一言ではありましたが、私に大きな影響を与え、根拠は無いながらも自分への自信ができ、ポジティブに生きていける今の自分があるのです。
恐らく世の中には、ある人のたった一言によって人生が変わったという人もいると思いますし、少なくとも私はそうです。そういった言葉の重みというのは、その言葉を発する人の経験によって成り立っているのものかと思います。
私はきっと、エミリアの100分の1も苦労をしたことがない人間ですが、いつかエミリアのような立派な素晴らしい人間になりたいと思います。
残念ながらエミリアはもう亡くなってしまい、この言葉に対するお礼は言えなくなってしまいましたが、私がいつかエミリアのような重みのある言葉を言える立派な人間になって、世の中に少しでも役立てるようになることが、エミリアに対するお礼になるのかなあと思っております。